10年ひと昔?

「中古で買ってごめんなさい」と思いつつ、先日『Jポップの日本語』という本を買ってきました。

 

読み進めている最中でもあり、論じられている内容についてはうなずける点もあれば首をかしげる点もある、という感じなのですが、驚いたのが序章に書かれている、「Jポップは若者にとって空気のようにどこにでもあり、かつ、なくてはならないサウンドスケープ」という文でした。

 

この本が出版されたのは2002年。確か日本国内のCDの売上高が最大を記録したのは1998年でしたから、まだその余韻に浸っていられた時代だったのでしょうか。「音楽は無料でも聴かない」という層が確実に増加しているという調査結果が出た今から見ると隔世の感があります。まあ、音楽ネタでメディアに文章寄せている人の中にも、「CCCD以降CDソフトの購入量が激減した」という人がいましたから、影響というか禍根は大きかったんでしょうかねえ。「音楽に時間を割いてくれる人」が少なくなった時代に音楽を作り続けている我が身を省みてちょっと切なくなったりも。

 

ところでこの本の主題のほうですが、著者がこのようなテーマを設定した動機は、「音楽の中で歌詞は重視されてこなかったが、実は重要な位置を占めているのではないか?」みたいなところにあったようです。この点も、「歌詞に共感できるかどうかがいい曲かどうかの評価基準になる」みたいな意見をよく目にするようになった昨今の視点から読むと、なんとも意外な感じがします。もっともこの点については、そもそも著者の問題意識が一般的なものだったのかどうか検討の余地がありそうですが。