『野球バカは死なず』を読みました

以前から気になっていた、江本孟紀さんの著書『野球バカは死なず』を先日ブックオフの店舗で見つけて購入。本日、一気に読了しました。

 

江本さんの波瀾万丈の一代記で、特に興味深かった内容が、「野村克也さんの評価」と「一流と超一流の違い」という部分でした。

 

野村克也さんの評価については、世間に流布されている評価について、「虚像という部分もある」という評価を下しつつ、「とはいえやっぱりすごい人であるのは間違いない」ということが、様々なエピソードを交えて語られています。野村さん本人の著書と併読すると、野村克也という人物、あるいは、「ノムラの考え」の理解がより立体的になり深みを増す、かもしれません。

 

それより印象に残ったのが、何度か実例を挙げて語られる、「一流と超一流の違い」についての見解です。

 

平たく言ってしまうと、「一流の人物は自分を輝かせるだけだが、超一流の人物は周囲の人をも輝かせる」というものです。

 

実例については、ぜひ本のほうを手に取ってご覧いただくとして、「周囲の人をも輝かせる」ということに関して思い出したのが、高校の吹奏楽部で同じ楽器(トロンボーン)を担当していた後輩のKくんのことでした。

 

我々が活動から引退し、Kくんたちが最上級生となって吹奏楽部を率いていくようになりました。彼は生徒指揮に選ばれたのですが、当時は部員数も減少傾向にあり、いろいろな部分で苦労があったのではないかと推察します。

 

トロンボーンパートも下級生中心の構成となり、定期演奏会で彼が指揮をしているときのサウンドを聴いて、「やっぱりトロンボーン厳しいかな」という印象を持ちました。しかし、2部ステージが始まり、指揮者がその年からいらした顧問の先生に代わり、Kくんがトロンボーンパートに加わると、見違えるようなサウンドを鳴らしたのです。

 

そのとき、ぼくは「負けた」と思いました。「自分はただの最上級生だったが、Kくんは下級生を変えることのできる最上級生なのだ」と思ったのです。江本さんの意見に触れて、なんとなくそのことを思い出したのでした。

 

さて、ぼくは大学の吹奏楽団体で指揮者という立場になり、ある意味高校時代のKくんと同じ立場になりました。さて、そのときトロンボーンプレーヤーとして、「周囲を変えられる」存在であったのかどうか。そこは自分で判断できることではありませんが、「せめて後輩にはそういう存在になってほしい」という思いから、Kくんの存在から学んだことをそれとなく話したことはおぼえています。

 

江本さんの著書の話に戻りますが、上記以外にも興味深い話がありました。そんなわけで、ブックオフで見かけたときは、「気になってた本が安く手に入ってラッキー!」と思ったのですが、いざ読み終わってみると、「印税が手元に行かないような買い方してすいません……」と恐縮しきりです。